ザ・ゴール

ザ・ゴール
企業の究極の目的とは何か
エリヤフ・ゴールドラット 著
三本木亮 訳
稲垣公夫 解説

まず、書評を書くにあたって、1冊目はこの本に決めていました。
なぜなら、私が中小企業支援を主軸とした業務として、独立を決意させた本だからです。


17年間、日本語訳が発売されなかった書籍です。
1984年に初版が世に出て、世間を席捲させていたのですが、以下の理由で、著書のゴールドラット博士は日本語訳を出版させなかったそうです。

“著者のエリヤフ・ゴールドラット博士は、出版を拒否し続けた理由について、次のように語っている。

「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」”
引用:

日本を目の敵に?!と思ってしまいましたが、本書読み、また他の書籍を読むことで、博士の日本への思い、そして働く人々への思いを感じられるようになります。


本書は、ビジネス書と小説が融合した書になっています。ビジネス書では解りにくい部分も、小説になっているお陰で情景が浮かびます。私も自社工場とオーバーラップさせながら、読むことでTOC(Theory of Constraints:制約の理論)が手の届き易い内容になります。

読み込んでいく事により、現在日本企業の多くが、トヨタ式に縛られてい過ぎ、またトヨタ式を理解しなさすぎるのではないかと言う懸念が生まれます。
ず、今まで改善、改善と行ってきたが、業績が上がった事を感じなかった。

毎年、何百万と改善する事で削減しているはずなのに、利益に結び付いていないように感じられるのは何故か?
コスト削減をし続けながら、結局は何も変わらないのは何故か?


改善を行い、コスト削減を行っていれば、利益は上がるはずだと信じて、改善を行ってきたが、実際には何も変わらずでした。
作業時間を削減しても、従業員コストは変わらないし、部分的に良くしても全体の生産量は変わらない。
生産量が変わらなければ、利益は上がらない。少々のコストカットでは、全体の利益を押し上げる事が出来ない。
コストカットのようなマイナスを積み上げる事よりも、ビジネスを拡大するプラスになる事を目指すTOC(制約の理論)の方が、これからの会社には必要ではないのでしょうか。

まだ、購読をしていない方がいたら、ぜひ読むことをオススメします。特に、自社の改善活動に疑問を持ってる方。

ゴールドラット博士は、2011年6月11日肺がんのため死去されました。
もっと早く本書を知っていれば、ぜひお会いしたかった方です。