変革の夜学 第2回開催報告 | 製造業の現場課題とDX・AI活用を語り合う夜

2025年11月12日、現場の声が交わる学びの場

2025年11月12日(水)19:00より、Cast Switch第二工場(掛川市)にて「変革の夜学」第2回を開催しました。製造業に携わる皆様が仕事帰りに集い、現場の課題や改善のヒントを共有する貴重な時間となりました。

今回も参加費無料で、製造業の現場が抱えるリアルな課題について、率直な意見交換が行われました。

今回のテーマ:製造業の現場が直面する課題とデジタル化の現実

第2回の夜学では、参加者の皆様から以下のような具体的な課題が共有されました。

1. 深刻化する人材不足と技術継承の課題

属人化のリスク
「うちも法務が一人だけで、休まれると本当に困る」「設備のことがわかる人が辞めてしまって、誰も直せなくなった」——参加者からこんな切実な声が上がりました。

特定業務が一人の担当者に集中し、その方が退職すると業務が停滞してしまう「属人化」。法務、設備保全、品質管理など、専門性の高い業務ほどこの問題が深刻だという実態が浮き彫りになりました。
今後は、この問題について、どの様な解決策が有るかを議論していきます。

2. 現場の安全管理と設備投資の判断

見過ごされがちな安全リスク
「生産が優先で、機械を止めると怒られるから、動いたまま手を出してしまう」
「夜勤が派遣さんばかりで、トラブルが起きたらどうするのか不安」

参加者から、こんな現場の実態が次々と語られました。安全装置を無効化してしまう現場の慣習や、経験の浅い従業員だけで夜勤を回すリスクなど、重大事故につながりかねない課題が共有されました。
DX・AIの活用が、この問題に対してシステム化されていくかを調査していきます。

設備投資の見極め方
「ラップ巻きの自動化設備を入れたいけど、経営層が『利益が上がらない』と言って許可が下りない」

こんな悩みに対し、「その設備で生まれた時間を、人材育成や改善活動に使えれば、長期的には必ず利益につながる」「経営層にそのビジョンを示せるかどうかが鍵」という議論が交わされました。
実績を提示できればいいのですが、なかなか同様な事案もない現状、経営層に届く提案をどのように提示していくか、社内、社外コンサルタントの問題として、共通の認識です。

3. ISO認証の形骸化とデータ活用の現実

ISO運用の実態
「コンサルタントに言われるまま、実態に合わない分厚いマニュアルを作ってしまった」
「ISOのために仕事をしているようで、本末転倒だと思う」

参加者からこんな本音が飛び出しました。本来ISOは「日々の業務改善とその記録」であり、形式的な書類作成に時間を費やすべきではない——この認識が参加者の間で共有されました。
更新等に対する労力の削減は、今後DX化、AIの活用で少なくする可能性があります。
具体的な活用事例を参加者間で、検討していく事で展開手法がみられそうです。

活用されないデータ
「POSデータは取っているのに、生産計画には全く活かされていない」
「測定データを毎日取っているけど、グラフにもせず、ただ記録するだけ」

こうした「データの宝の持ち腐れ」状態の企業が多いことが明らかになりました。「昔からのやり方」が疑問なく継続され、改善の機会を逃しているケースが少なくないようです。
ISOでもそうですが、DX化の第一歩として、業務の棚卸が第一です。
やるべき仕事と、やらなくていい仕事の仕分けが必要です。

4. DX・AI活用の実践的アプローチ

DXの本質とは
「DXってシステムを入れればいいんでしょ?」という誤解に対し、参加者から「それは違う」という声が。

「何をしたいか」という目的を明確にし、システム導入による全体最適を設計することの重要性について、活発な議論が交わされました。

AIによる業務効率化の実例
この日、最も盛り上がったのがAI活用の話題でした。

「2時間の会議を録音して、AIで要約させたら10分で議事録ができた」
「メールの返信文をAIに書かせると、自分で考えるより丁寧で早い」
「企画書を箇条書きで指示したら、A4一枚の立派な企画書ができた」

参加者から次々と実践例が共有され、「明日から試してみたい」という声が多数上がりました。

特に、Perplexity AI(最新情報の検索に強い)、Claude(文章作成能力が高い)、Copilot(Office連携が便利)など、用途に応じたツールの使い分けが紹介され、具体的なプロンプト(指示文)の書き方まで情報交換が行われました。

参加者の声

「同じ悩みを抱えている方々と話すことで、自社だけの問題ではないと分かり、前向きに改善に取り組めそうです」

「AIの具体的な活用法を知ることができ、明日から試してみたいと思いました」

「現場の安全管理について、改めて見直すきっかけになりました」

「普段は一人で悩んでいることを、みんなで話せる場があるのはありがたい」

この夜学で見えてきたこと

約2時間の対話の中で、参加者の皆様が抱える課題には共通点が多いことが見えてきました。

  • 人材不足は一時的な問題ではなく、構造的な課題である
  • 現場の知恵が継承されないまま失われている
  • データやシステムは導入したものの、活用できていない
  • 経営層と現場の認識ギャップが改善を妨げている

一方で、希望も見えてきました。

  • AIなどのツールを使えば、個人でも業務効率化は可能
  • 同じ課題を持つ仲間と情報交換することで、解決のヒントが得られる
  • 小さな改善の積み重ねが、現場を変えていく

Cast Switchが考える「変革の夜学」の意義

製造業の現場では、日々の業務に追われ、他社の事例や新しい技術について学ぶ機会が限られています。「変革の夜学」は、そんな製造業の皆様が気軽に集い、率直に課題を共有し、明日からの改善のヒントを持ち帰っていただける場所です。

静岡県西部地区(掛川・袋井・磐田・浜松)エリアの製造業の皆様が、業種や企業規模を超えて交流し、共に学び合うことで、地域全体の製造力向上につながると考えています。

次回開催について

変革の夜学は定期的に開催してまいります。次回の開催情報は、当HPおよびSNSにてお知らせいたします。

「うちの現場の課題も話してみたい」
「他の会社はどうしているのか知りたい」
「AIやDXについて、もっと具体的に学びたい」

そんな方のご参加をお待ちしています。初めての方も、お一人でも、お気軽にどうぞ。


【こんな方におすすめ】

  • 製造業の現場管理者・経営者の方
  • 設備保全・品質管理担当の方
  • DX推進を検討されている方
  • 人材育成にお悩みの方
  • 他社の事例や改善手法を知りたい方

【参加費】 無料
【会場】 Cast Switch第二工場(掛川市大池45-4)


Cast Switchの製造コンサルティングサービス

変革の夜学で共有されたような課題について、個別のご相談も承っております。

  • 5S活動・現場改善支援
  • 設備保全BCP(事業継続計画)策定
  • 製造DX・IoT導入支援
  • 省エネ診断

35年の製造現場経験を活かし、「人と機械の声を聴く」診断で、貴社の課題解決をサポートいたします。

初回相談無料
お気軽にお問い合わせください。


タグ: #製造業 #中小企業支援 #DX推進 #AI活用 #現場改善 #掛川 #袋井 #磐田 #浜松 #設備保全 #品質管理 #人材育成 #技術継承 #製造コンサルティング #工場改善 #業務効率化 #変革の夜学